メールサポートでいただいたご質問を紹介します。
【ご質問】
写真集や写真展のような何枚もの写真を掲載する時に
「トーンをそろえる」という表現がありますが、
具体的にどのような感じでしょうか?
色味であったりコントラストや明るさ
・・・といったものですか?
【回答】
「トーン」という言葉は日常でも
なんとなく使いがちですよね。
「この服は明るいトーンだ」とか
「なんか暗いトーンだね」など。
では、そもそもトーンとはどういうことでしょうか?
トーンとは
「明度と彩度の複合概念」
です。
はい、さっぱりわかりませんね。
もう少しわかりやすく言うと、
「色の印象」とも言えます。
具体的には下記の画像をご覧ください。
PCCSトーンマップ
この画像は、
財団法人日本色彩研究所というところが1964年に発表した
PCCS(日本色研配色体系:Practical Color Co-ordinate System)
というものです。
画像を見ると、v:ビビッド、sf:ソフトなど
色の印象と、それにかかわる色が配置されています。
それぞれ
v ビビッド … 冴えた、鮮やかな
b ブライト … 明るい
s ストロング … 強い
dp ディープ … 濃い、深い
lt ライト … 浅い
sf ソフト … 柔らかな、穏やかな
d ダル … 鈍い、くすんだ
dk ダーク … 暗い
p ペール … 薄い
ltg ライトグレイッシュ … 明るい灰みの
g グレイッシュ … 灰みの
dg ダークグレイッシュ … 暗い灰みの
W ホワイト … 清潔な
Gy グレー … スモーキーな
Bk ブラック … 高級な
というように、それぞれ
色から受ける印象が定義されています。
色は感覚的なものなので、誰かへ色の印象を伝えるとき
「もう少しパッと明るく」とか「落ち着いた雰囲気で」
と曖昧な表現で伝えがちです。
そこでトーンという、
色と印象の明確な定義があると、
デザイン分野などで非常に役立ちます。
さて、ご質問の「トーンを揃える」に関しまして。
おっしゃる方がどれくらいトーンを
正しく理解されているかわかりませんが、
「写真の色味を揃えて、一貫性を持たせる」
と理解すればよいでしょう。
たとえば写真展で10枚の写真を展示する場合、
ダークなモノクロ写真
ビビッドで鮮やかな写真
ソフトでふんわりした写真
を一緒に展示すると、写真を観た人は
「この人はどういう写真を撮りたいのだろう?」
と混乱してしまいます。
展示する10枚の「色味を揃えて」
「一貫性を持たせる」ことで、
観た人に強い印象とメッセージ性を
伝えることができます。
写真を撮り続けていると、
知らず知らず、または意図的に
好きなトーンが出てきます
ご自身の作品づくりに
トーンを揃える工夫をすれば
写真を観た人に「あなた」という
ブランディングがやりやすくなります。
写真集や展示会場で写真を眺めるとき、
ぜひ「トーン」を意識してみてくださいね。
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