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2016.04.07 コサイン誤差の正しい理解と回避方法とは

メールサポートでいただいたご質問を紹介します。


【ご質問】

EOS 70Dを使っています。

オートフォーカスの設定に関しまして、
以前は19点自動選択やソーンAFを試していましたが、
今は中央1点AFだけ使っています。

たまにピントが甘い写真が気になりますが
コサイン誤差の影響はどれくらいありますか?


【回答】

写真の基本はピント合わせです。

狙ったところに、確実にピントを
合わせられることが写真上達の第一歩です。

まず、一眼レフのオートフォーカスの
使い方をおさらいしましょう。

カメラを買って最初の頃は
全自動オートで撮影すると思います。

つまり、
ピントを合わせる測距点すべてを使って
カメラが自動的にピントを合わせる方法です。

この方法は、
スポーツなどシャッターチャンスを
逃したくない場合に便利ですが、
狙ったところにピントが合わないという
デメリットがあります。

そこで、
狙ったところに確実にピントを合わせるのが
フォーカスロック」または「測距点選択」です。


◇ フォーカスロック

測距点を1点だけに制限します。
通常、最も精度の高い中央の測距点を選びます。

次にファインダーを覗きながらカメラを動かして
ピントを合わせたい位置に中央1点の
測距点を重ねます。

次にシャッターを半押しして、
ピントを合わせた状態にしてから
カメラを動かして構図を決めます。

構図が決まったらシャッターを押します。

こうすることで、狙った場所に確実に
ピントを合わせることができます。

一眼レフ初心者の方が
ピント合わせの基本を学ぶのに
よい方法と言えます。

フォーカスロックのデメリットは、
シャッターを押すたびに
毎回カメラを動かさないといけないので
シャッターチャンスを逃したり、
構図が安定しないことがあります。


そのような不便を感じ始めたら、
少しレベルアップして親指AFを
組み合わせると便利です。

親指AFは動体撮影でよく使われますが
風景のような静物でも活用できます。


さて、親指AFを組み合わせたとしても、
フォーカスロックのもう一つのデメリットである
コサイン誤差は避けられません。


コサイン誤差のコサインとは
中学高校で習ったsin、cos、tanの
コサインです。

嫌な記憶がよみがえるかもしれません(笑)


要するに、フォーカスロックでは
ピントを合わせた後にカメラを動かす
(カメラの角度を変える)のですが、
この角度分だけピントに誤差が生じる
ということです。

cosineerror

どれくらいの誤差か?は
手計算でも下記のサイトでも計算できます。

コサイン誤差計算
http://homepage3.nifty.com/ruupictures/study/cosine.html

例えば
1メートル離れた被写体に対して、
カメラを10°動かすと、
約1.5cmのピントずれが生じます。

(参考)50mmレンズの対角線画角は46°

この1.5cmが被写界深度に対して
影響するかどうか?が問題です。

1メートル先の被写体を
50mm単焦点レンズ+F1.4
で撮ると、
被写界深度は約1.7cmになるので
かなりピントに影響しますね。

被写界深度計算
http://homepage3.nifty.com/ruupictures/study/focus.html

一方で、
被写体までの距離が大きい風景撮影や、
被写界深度の深い広角レンズでは
ほとんど気にする必要はありません。

人物撮影のように、比較的近距離で
背景のボケを積極的に使いたい場合に
目立ってくる現象です。


では、このコサイン誤差がどうしても
気になるときにどうすればいいか?
をお伝えします。


被写体との距離やレンズの焦点距離といった
構図に関わること以外の解決方法です。


◇ 測距点選択

ピントを合わせたい場所に合致する
オートフォーカスの測距点を選ぶ方法です。

測距点選択はカメラの設定を工夫する
ことで使い勝手が良くなります。

カメラの背面ボタンを測距点選択に
割り当ててみましょう。

ファインダーを覗きながら、
親指で測距点を合わせることができます。

先ほどの親指AFを組み合わせることで
最強のオートフォーカス設定になりますが、
親指が腱鞘炎になるかもしれません(笑)

また、カメラのクラスによっては
欲しい場所に測距点が配置されて
いないことがあります。

さらに、
周辺の測距点は中央に比べて精度が落ちるので、
暗い場所ではピント精度そのものが
気になることがあります。


◇ マニュアルフォーカス

昔ながらの方法ですが、
プロカメラマンも最後は
マニュアルフォーカスに行きつきます。

慣れてしまえば狙ったところに
間違いなくピントを合わせられるので
一番安心感がありますね。

ただ入門機はファインダーが暗く
ピントの山がつかみにくいので
マニュアルフォーカス自体が
難しいという問題があります。


まとめとして、
近距離でフォーカスロックを使った場合
コサイン誤差というピントのズレが
発生すること。

対策として、
測距点選択かマニュアルフォーカスという
選択肢があること。

を理解しておきましょう。

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