一眼レフの上手な写真の撮り方を解説するメルマガ
フォトアドバイスの佐藤孝太郎です。
少し間が空いてしまいましたが、
カメラのダイナミックレンジのお話です。
おさらいですが、
ダイナミックレンジとは
カメラが写せる明るさの範囲です。
撮影時にこの範囲を外すと、
明るいところは白く飛び、
暗いところは黒くつぶれてしまいます。
そうならないように、
撮りたいイメージに合わせて
カメラが写す明るさの範囲を
調整することを露出補正と言います。
ここまでおさらいです。
さて、デジタル一眼レフは何度も撮り直せるので、
露出補正に関してはフィルムカメラより優れている。
という意見があります。
実は、露出補正については、
フィルムカメラの方が圧倒的に有利
という事実をご存じでしょうか?
フィルムカメラにはネガフィルムと
ポジフィルムの2種類があります。
ネガフィルムは普段見慣れている
(最近は見なくなってしまいましたが・・)
あのフィルムです。
明るいところと暗いところの明暗がフィルム上で
反転しているので、ネガ(negative)と呼ばれます。
一方で、ポジ(positive)フィルムはその名前の通り、
写真に写るよう色がついた状態で
にフィルム上に感光されます。
ポジフィルムはリバーサルとも呼ばれていて、
フィルムを見ると、小さな写真がそのまま
カラーで写っています。
ポジフィルムはスライドを使って、
大きなスクリーンに投影することもできます。
さて、このネガフィルムとポジフィルムは
性能に大きな違いがあります。
ネガフィルムはダイナミックレンジが広い
というメリットがあります。
ポジフィルムはダイナミックレンジは
ネガフィルムより狭いのですが、
コントラストが高く、発色が鮮やかと
いうメリットがあります。
こちらのサイトでは、
ネガフィルムとポジフィルムの違いが
詳しく説明されています。
↓
http://www.miesin.com/nega-riba-saru.html
ここで注目してもらいたいのは、
普段使い慣れているネガフィルムの
ダイナミックレンジの広さです。
ネガフィルムは、およそEV10に相当する
ダイナミックレンジを持っていると言われています。
普段、デジタル一眼レフを使っていて、
露出補正の値をEV±1変えると、
明るさが全く違う写真になります。
ネガフィルムはEV10という、
デジタルカメラとは比べものにならない
豊富な明るさの情報を持っているのです。
また、ネガフィルムの情報を引き出すのが
プリントです。
プリントの表現できるダイナミックレンジは
ネガフィルムより狭いので、ネガフィルムに
保存された豊富な明るさの範囲から適当な範囲を
取り出すことになります。
言い換えると、ネガフィルムの撮影時に
多少露出を外しても、プリントでいかようにでも
救済できるのです。
良い例が、レンズ付きフィルムです。
一昔前はどこの観光地の売店でも
レンズ付きフィルムが置いていました。
このレンズ付きフィルムは、
小さくて暗い(F8?)レンズと
固定されたシャッタースピード(1/100?)
固定されたISO感度(ISO800)の条件下で撮影します。
つまり、露出に関する設定が全て固定されています。
こんな厳しい条件でも、レンズ付きフィルムで
撮影してプリントした写真を見ると、
全てそれなりに写っています。
プリント時に適正な明るさになるよう
調整されているのです。
これが、ネガフィルムの威力です。
デジタルカメラで撮影結果を見ながら、
細かく露出補正をしなくても、
一度の撮影でほぼ全ての明るさの範囲を
保存できてしまうのです。
デジタル一眼レフのダイナミックレンジが
ネガフィルムに比べて狭い理由は、
撮像素子が広い範囲の明るさに対応していないからです。
今後、技術の進歩でダイナミックレンジが
ネガフィルム並みに広いデジタルカメラが
登場するかもしれません。
そうなれば、露出補正を一切気にすること無く、
レタッチでいかようにも調整できるように
なるかもしれませんね。
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