ご質問
初めて一眼カメラ「ORYMPUS E-M10MarkⅡ」を購入し、何もわからないまま標準レンズ講座を受講しています。
二つ質問させていただきます。
1、講義の中に「追い込む」という表現がしばしば出てきますが、具体的にどのようなことをするのでしょうか?
2、添付の写真は、近所にある古い屋敷の塀を撮ったものです。空の色が何となく塀の古さにそぐわないような気がして、モノトーンで撮り直してみました。
(写真1)
(写真2)
このような場合の考え方として、どうなのでしょうか?
標準レンズ講座では「追い込む」ことを覚える
質問者が受講されている標準レンズ講座では、単なる撮影テクニックだけでなく作品を創る上で大切な「撮る姿勢」についても解説しています。
特に基本となるのが「追い込む」です。「追い込む」とは文字通り、完成に向けて一工夫するという意味があります。
いい被写体に出会ったとき、パッと撮っておしまいだと作品の完成度はなかなか上がりません。
・カメラのアングル
・絞り、シャッタースピード、露出
・光の条件
・シャッターチャンス
などなど、同じ被写体でもアイデアをもとに創意工夫することで、完成度はいくらでも変わります。
パッと撮ったときは60点だった作品を、創意工夫で80点、90点、100点に引き上げる作業とも言えますね。
そうした意識をもって、撮影に取り組んでいただくことが標準レンズ講座の主な目的でもありますね。
写真実践講座 ~標準レンズ~
⇒
http://photo-kouza.com/zissen_kiso/hlenz/
さて、今回の例では、「近所にある古い屋敷の塀」を撮られました。
「あ、いいな」と感じたことを掘り下げて、「どこかが面白いか?」をちゃんと考えてシャッターを押したことがわかりますね。
おそらく、この塀の「扇状の窓」と、歴史を感じる「禿げおちた塗装」と、「それらが連なる奥行き」だと思います。
人に伝わる写真を撮るには、まず「主題」の良さを引き出すことが大事です。
今回の壁は「扇状の窓」が特徴で面白い部分だと思います。
しかし、写真1では、
・「扇状の窓」のピントが甘い
・「扇状の窓」の形の面白さが伝わりにくい
・画面中央のガラスの反射が白くて視線が移ってしまう
など、いくつか気になる改善点がありますね。
この改善点に気づき、アングルを変えたり、絞り値を変えたり、時間帯を変えて光を変えたりすることで、よりよい作品にすることを「追い込む」といいます。
改善点をピックアップ
現地を見ていないので、あくまでも提案ですが、
・光を改善する
時間帯を変えると、朝日や夕日が壁を照らして綺麗に見える条件があるかもしれません。
また「扇状の窓」の背後にある、暗く落ちた葉が太陽を受けて明るくなる時間帯があるかもしれません。
また、歴史のある被写体は雨に濡れると雰囲気がでるので、雨天で風情が出る事もあります。
・構図を改善する
写真は「引き算」が基本です。基本の先には「足し算」がありますが「引き算」を理解しないと進めません。
「引き算」とは余分な部分を省いていく作業です。たしかに、この連なる奥行きも面白いのですが、画面に「要素」が多くなることで、主題である「扇状の窓」の良さが表現しにくくなるマイナス点もあります。まずは「引き算」を理解することから始めるとよいでしょう。
「扇状の窓」の良さを活かした壁の写真にするため、もっとシンプルな構図も探してみてくださいね、
> 空の色が何となく塀の古さにそぐわないような気がして
と、ご自身でも改善点に気づかれているので、空を入れない構図だったり、空が夕焼けに焼ける時間帯だったり工夫が考えられますね。
追い込みの具体例を紹介します
過去の標準レンズ受講生で追い込んだ例を紹介します。
何となくわかりづらい主題をポスターに使えるレベルまで追い込んだ例
追い込み前
https://www.photodays.jp/?m=pc&a=page_fh_photodetail&c_photo_id=223494
追い込み後(提出作品)
https://www.photodays.jp/?m=pc&a=page_fh_photodetail&c_photo_id=225305
平凡な光と時間帯を早朝の光で追い込み、
レールの光を印象的に変えた例
追い込み前
https://www.photodays.jp/?m=pc&a=page_fh_photodetail&c_photo_id=222528
追い込み後(提出作品)
https://www.photodays.jp/?m=pc&a=page_fh_photodetail&c_photo_id=224536
※ 上記の作例はフォトアドバイスの写真交流サイトPHOTODAYSへのログインが必要です。
PHOTODAYS入会はこちらから
⇒
http://photo-advice.jp/photodays.html
ぜひPHOTODAYSで他の受講生の作品を見てください。追い込み前と追い込み後がわかる写真が多々あります。
安易なモノトーン表現はNG
モノトーンで撮り直したことに関しまして。
モノトーンは懐古調になるので、このように歴史のある被写体にはたしかに向いています。
ただし、壁のどこが良いのかでなく、なんとなくいい雰囲気になるから面白いとなる危険もあります。
モノトーンで作品を仕上げるには、RAW現像の技術と白黒の世界で表現するための造形力が必要です。
まず、1枚の写真を完成させること。「どこが良い」と感じ「どこかが面白い」と思ったのか?を表現できるように頑張ってみてください。
そうすれば、モノトーン表現をさらに活かすことができるでしょう。
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