一眼レフの上手な写真の撮り方を解説するメルマガ
フォトアドバイスの佐藤孝太郎です。
デジタル一眼レフを始められた方が
必ず気になってしまう存在がフルサイズです。
「フルサイズはAPS-Cと写りが違う」
と詳しい人から言われると、
つい「グラリ」と気持ちが揺れて
しまうのではないでしょうか?
今回はそのフルサイズ機について、
本当にAPS-Cからフルサイズに買い替える
メリットがあるのかを検証します。
すでにフルサイズ機をお持ちの場合は
読み飛ばしてくださいね(笑)
ご存じの通り
フルサイズ機の最大のメリットは
撮像素子が大きいことです。
撮像素子がフィルムと同じサイズで、
フルサイズはAPS-Cに比べて2.31倍
面積が大きくなっています。
撮像素子のサイズが大きいと、
1画素あたりの面積が大きくなるので、
感度、ダイナミックレンジ、ノイズといった
画質を左右する性能が高くなります。
また、フィルム時代のレンズを
そのままの焦点距離で使えるので、
過去のレンズ資産を活用できます。
と、定性的に考えるといいことずくめです。
反対に、大きくて重くて高いというデメリットが
ありますが、これはユーザーの許容範囲の世界ですね。
では、本当にフルサイズ機の画質は
APS-Cより優れているのでしょうか?
メーカーは撮像素子のスペックを公表していないので、
あくまでもざっくりとした概算になります。
フルサイズとAPS-Cの画素数が同じ前提で、
感度は面積にほぼ比例するので×2.31
つまりISO感度で言うと、APS-CでISO400のシーンを
フルサイズ機では~ISO160で撮影できます。
低いISO感度を使うと、同じ露出を得るのに
たくさんの光を取り込むことができます。
光そのもののばらつきは、光の量の平方根に
比例するので、光のばらつきが√2.31=1.52倍
小さくなります。
それだけ、明るさの中間層を滑らかに表現できます。
画質を極限まで追い求めるプロカメラマンには
この妥協を知らない性能がどうしても必要な
ことがあります。
と、
数字で書くと確かに有意差はあります。
しかし、その有意差の解釈が行き過ぎて
「フルサイズに比べてAPS-Cは画質が”劣っている”」
「フルサイズを使えば私でもキレイな写真が撮れる」
「風景撮影にはフルサイズを使わないといけない」
あたかもフルサイズを使えば全ての問題が解決するとか、
フルサイズ以外は使う価値がない
といった意見になると、どうかなと感じます。
そうした意見を真剣に受けてしまって、
フルサイズが気になって仕方ない方を
あえてフルサイズ症候群と呼ばせてもらいました。
写真の良しあしを決めるのは、
撮像素子の性能だけではありません。
むしろ、
1. メッセージ(何を伝えたいか)
2. 構図、設定(主役を引き立てる)
3. シャッターチャンス
4. レンズ
・
・
保存形式(RAW、JPG)
・
・
撮像素子の性能
ではないでしょうか?
いくら撮像素子の感度が高くても、
何を撮りたかったのかわからない写真は
人にメッセージを伝えることができません。
撮像素子に当たる光はレンズで決まります。
フルサイズとAPS-Cで同じレンズを使い
A4程度にプリントした場合、
その違いを見抜けるでしょうか?
雑誌に載っているプロのフルサイズ作品例は
プロの力量、最高のレンズ、手間暇かけたレタッチ
が組み合わさって仕上がっています。
決して撮像素子の力だけではありません。
ちなみにJPGで表現できる諧調は8bitです、
一方Rawは14bitですので、今までjpgを使っていた方が
Rawに変えるだけでも中間層の表現幅は大きく変わります。
一眼レフは良い写真を撮るのが目的だけではありません。
撮る喜びだけでなく、所有する喜びも魅力の一つです。
時間を知るためにわざわざ高級腕時計を買うのと同じです。
「私はフルサイズという究極のカメラを使っている」
その楽しみまで否定するつもりは全くありません。
このメールで伝えたかったことは、
もし、あなたが
今の写真に満足していない場合、
フルサイズ機に買い替えるより、
DVDでお伝えした内容を磨き上げ、
レンズに投資した方が効果的です。
ということです。
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