今回は、広角レンズ講座でいただいたご質問の回答を紹介します。
他の方の質疑応答は大変勉強になるのでぜひじっくりと読み込んで下さいね。
ご質問
建物の写真もかなり撮りましたが、水平がうまくとれず苦労しました。
写真1:建物下部の礎石が水平になるように撮りましたが、屋根部分は右下がりになってしまっています
写真2:階段部分は水平になっていますが、やはり天井の梁部分は傾いてしまっています
このように平行な部分の一部が傾いてしまうのを防ぐコツのようなものはありますか?
回答
講座の中でもお伝えしていますが、広角レンズの特徴は「誇張」です。
言い換えると、
「近いものはより近く、遠いものはより遠く」見えるように、
実際の見た目に比べて形を変えるチカラがあります。
一方で、形を変えるチカラは「歪みやすい」ということでもあります。
写真1に関しまして、まず基本中の基本として、カメラの水平を確認しましょう。
カメラに水準器が内蔵されていればそれを使って、カメラが地面に対して水平に置かれている状態を作ります。
次に大事なポイントは、建物に対して真正面から構えることです。
建物に対して少しでも斜めの角度から狙うと左右にどうしても差が生じてしまいます。
同時に、左右中央ど真ん中にカメラを構えて下さい。今回のお写真だと、
わずかながら左寄りの位置からカメラを構えています。
広角レンズはとくに画面の周辺部分が歪みやすいので、
建物の屋根の部分が大きく傾いているように見えてしまっていますね。
次に、写真2に関しまして、こちらも階段の中央からわずかに右側から撮られていますね。
また先ほどの写真1と同様に、歪が大きく出やすい画面の上部が気になってしまいます。
対策として、広角レンズの歪を抑えるには、撮影対象の「ど真ん中」。
つまり、左右中央だけでなく、上下中央にカメラを構えないといけません。
ということは、空中にカメラを持ち上げて撮らないといけないことになってしまいます。
どう考えても無理なシチュエーションが出てきますよね。
建築写真家のプロは、このようなケースではレンズ内部で光軸をずらして、
上下中央から構えたように撮れるあおりレンズというレンズを使っています。
・Nikon PCレンズ PC-E NIKKOR 24mm f/3.5D ED →
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・Canon テイルト・シフトレンズ TS-E24mm F3.5L II →
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ただし、使いこなすには相当の知識が必要で、価格も非常に高額です。
建物撮影を職業にされている方なら別ですが、一般のアマチュアカメラマンにはおすすめできません。
そこで、おすすめなのがRAW現像を使って歪みを直す方法です。
RAW現像の定番ソフト「Lightroom」を使用します。
Lightroomで画像を開くとこのように見えます。さきほどの写真1と同じですね。
次にLightroomの[現像]-[変形]から
・回転
を調整して、垂直をしっかりと出します。
先に回転から始めるのがポイントです。
次に、
・垂直方向
・水平方向
を調整します。すると画面の上が切れることがあるので、
・縮小
を使って切れてしまったところを見えるようにします。
このままだと写真が台形になってしまうので、
トリミングで必要な部分を残します。
すると、このようにまっすぐな建物を撮ることができます。
つまり広い画角を使って垂直と水平の調整シロを作っておいてRAW現像で調整するという考え方ですね。
このように、撮って出しの画角に比べて歪みを調整した分画角が狭くなるので、
余裕を持って撮っておくことをおすすめします。
広角レンズとRAW現像を使った、お手軽で便利な建物撮影方法です。
ぜひ試してみてくださいね。
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