メールサポートでいただいたご質問を紹介します。
【ご質問】
こちらの写真は、伊丹のスカイパーク、
大阪空港を離着陸する飛行機を
間近に見れるスポットで撮影した一枚です。
ご覧のように周辺光量落ちが出ています。
・使用レンズ:タムロン 16-300mm F/3.5-6.3
Di II VC PZD MACRO (B016E)
・カメラ本体:EOS 70D
・シャッター速度:1/640
・絞り:8.0
・ISO:100
APS-Cは、フルサイズに比べ真ん中を切り取るので、
周辺光量落ちはあまり出ないものと思っておりました。
何か防止策があればお願い致します。
【回答】
周辺光量落ちとは、
画面の四隅が暗く写る現象です。
【周辺減光無し】
【周辺減光有り】
スナップ写真では気にならない
ケースがありますが、
今回のように青空や白い壁など均一な
被写体を撮るとよくわかります。
周辺光量落ちの原因はいくつかの
要因が複合されています。
1つ目は口径食です
レンズを通った光は丸い光の像として
撮像面に結像します。
このとき中心から端にいくにつれて
明るさが徐々に暗くなり、
ここが写真になると周辺光量落ちとして
画像に現れます。
これは絞りを絞ることで改善します。
2つ目は撮像素子の構造です
撮像素子は小さい井戸が集まった構造で
井戸の底に光を電気信号に変換する
場所があります。
レンズを通った光が斜めに当たると、
井戸の壁に遮られて、十分な光が
井戸の底に届きません。
画面の端にいくほど、光が斜めに当たるので
周辺光量落ちとして見えやすくなります。
こちらも絞りを絞ることで改善します。
3つ目はコサイン四乗則です
用語は難しいので覚える必要はありませんが、
レンズに斜めから入った光は、
まっすぐに入った光に比べて
撮像素子まで長い距離を通るので暗くなる
という現象です。
このように周辺光量落ちは複合的な
理由で生じていますが、
小難しい原因は、特に覚える必要はありません!
対策をいくつか紹介します。
まず「絞ってみる」。
絞りを絞ることでレンズの中心部を
光が通過するので、周辺光量落ちは
かなり改善します。
今回はf8で撮られていますが、
f11、f16でも試してみたいですね。
それでだめなら「調整する」。
カメラに周辺光量落ちの調整設定があれば
試してみましょう。
ただし今回のように純正レンズではなく
サードパーティー製レンズを使っている場合は
カメラ側での補正は期待できません。
もしかすると映像エンジンのが自動で行う
レンズ補正が働いていない可能性もあります。
サードパーティー製レンズを購入する時は
こうしたリスクも知っておくといいですね。
あるいは、RAW現像のレンズ補正機能や
周辺光量を直接調整パラメーターがあるので、
そちらを試してみるとよいでしょう。
最後は「高価なレンズを使う」
周辺光量落ちは結局レンズの問題です。
今回は高倍率ズームという、
利便性を重視したレンズですので、
周辺光量落ちなどが弱いのかもしれません。
一般に高いレンズは良いレンズですので、
焦点距離の範囲を無理していない
ズームレンズを使うとよいでしょう。
ちなみに、APS-Cは中心部のよいところを使いますが、
それはフルサイズ用のレンズを使った場合です。
今回のレンズはAPS-C用ですので、
APS-Cの撮像素子サイズに合わせた
フルサイズより一回り小さい光の像を結像します。
(イメージサークルと呼びます)
また逆の考え方も持っておくといいでしょう。
周辺光量落ちはレンズ設計者にすると
改善すべき現象だと思います。
カメラ雑誌のレビューでも
周辺光量落ちが目立つと
鬼の首を取ったように書きたてます。
しかし、周辺が暗く落ちることで、
中央の主題がより引き立たつ効果もあります。
わざわざRAW現像ソフトで周辺を落とす
調整をすることもあります。
もし周辺光量を敢えて落とした
レンズがあれば使ってみると
面白いかもしれませんね。
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