一眼レフの上手な写真の撮り方を解説するメルマガ
フォトアドバイスの佐藤孝太郎です。
今回もメールサポートでいただいたご質問の
回答を紹介します。
【ご質問】
佐藤先生
お世話になっております。
昨年末に行った商品撮影ですが、おかげ様で
無事サイトが正式にオープンしました。
http://www.kikileclaireur.com/
ここの掲載された商品の撮影はすべて僕が担当いたしました。
ちょうどスタジオにいる時に中村先生からメールが届き、大変心強かったです。
温かいサポートに、あらためてお礼申し上げます。ありがとうございました。
正直申し上げて、こうしてウェブに掲載された
ものを見ると反省点がたくさんあります。
物撮りに限ったことではないのですが、
被写界深度について迷うことが時々あります。
この商品の場合、シェードが一番の売り物なので
シェードにオートフォーカスを合わせて
AVモードで撮影いたしました。
なにしろシェードの質感やディテールを
表現したかったもので。
Canon 7Dと愛用のEF 70-200mmを使い、
三脚を使用、AFはほとんど「一点AF(任意選択)」で
撮影いたしました。
後でよく考えると、ボディ(照明器具の下の部分)や
背景にもピントがあっていた方が
商品のPR用の写真としては正解だったのかなと思いました。
スタジオも素晴らしい場所で、背景も非常に
美しかったのでちょっと惜しいことをしたような気分です。
クライアントは大満足してくれたようなのですが、
自分としては心のこりな点です。
このような場合(シェードを強調したいけれど、
他の部分にも適度にピントを合わせたい)は
どのように設定するのが正解でしょう?
ちなみにAVモードでずっと撮影してきましたが、
今後はマニュアルにも慣れていきたいと思って挑戦しているところです。
余談ですが、この撮影は印刷媒体を
担当のフランス人写真家と一緒でした。
彼は大学で写真を学んだような優秀な人なのですが、
彼にどうしているか聞いてみたところ
「シェードとボディのそれぞれに合わせた写真を取るので、
二枚ずつ撮影している」とのことでした。
妙な質問になってしまって申し訳ないのですが、
良いアドバイスをいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いします。
【ご回答】
サイト、拝見致しました。
とても雰囲気がでていると思いますよ。
さすが商品もおしゃれですね。
このように飛び出しているシェードがあり、
ひっこんだ部分に文字があるので被写界深度は難しいですね。
フランスの写真家の方の2枚撮るのもうなずけます。
ピントは基本、同じ距離なら手前が浅く、
奥が深い物理的な部分があります。
(20cmの物の真ん中にピントを合わせた場合、
手前10cmより奥の10cmの方がピントが合いやすい)
ですので原理的には商品の2/3の場所に合わせるのが良いのですが、
これも手前がボケると全体にボケて見えるリスクがありますね。
もう一つ、難しいやっかいな問題がります。
フィルムですと、単純に絞った方が被写界深度が深まりました。
被写界深度が必要ならf22で撮ればOKだったわけですが、
デジタルになり困った問題が指摘される様になりました。
それは、回析現象(小絞りボケ)というもので、APS-Cなどの
小型の映像センサーで高解像度(画素ピッチが狭い)な
カメラだと、あまり絞りすぎると逆にボケてしまうという現象です。
絞る事によって光の結像がズレルためおこる現象です。
(検索すれば詳しく述べたサイトが沢山あります)
F8くらいから現象が目立つ様なので、
F11くらいが限界なのかなーと感じてはいます。
被写界深度と回析現象の天秤にかけて判断するしかないですね。
これも、いちおう覚えておいて下さい。
ピントを気にする商品は、あまりフレーミングを
大きめに撮らないというのも、先日の商品撮影セミナーで
商品撮影担当の山中カメラマンが
テクニックとして紹介していました。
あまりフレーミングいっぱいに大きく撮ると、
被写界深度が足りなくなる可能性が高まります。
少し引いて撮影の方が、同じ絞り値でも被写界深度が深くなります。
あとでトリミングの方が、結果、ピントが合っているという事です。
サイトの写真は、ピントは気になりませんでしたよ。
背景はボケていた方が良いと思います。
背景をボカさないと商品が引き立ちませんしね。
よろしくお願いします。
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